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まず、アレルギーについて

今、日本にはなんと4500万人に及ぶ何らかのアレルギー患者さんがいると言われています。
花粉症・喘息・アトピー…症状や患部によって病名は変わりますが、どれも『アレルギー疾患』です。
アレルギーとはそもそもどういう状態を言うのでしょうか。アレルギーとは『本来、体を守るために働く筈の免疫反応が何らかの理由で暴走し、体に対して有害な反応となってしまう状態』を言います。

問題は、世界中での精力的な研究にもかかわらずその『理由』がはっきりとは判明していない事にあります。その為になかなか有効な治療方法が見つかっていません。スギ花粉症はスギ花粉に対するアレルギー反応から来る病気ですが、何故スギ花粉なのでしょうか。ある人は大丈夫なのに別の人は大変な重症になる、去年まで大丈夫だったのに今年になっていきなり『花粉症デビュー』してしまうのは何故なのか。この『理由』が解らないために結局のところ、対症療法が現在のアレルギー疾患の治療方法の主流になってしまっているのです。

そして残念な事に、現実問題として現在の医薬品ではコントロールは不十分です。その結果患者さん達は様々な補完・代替療法に関心を向けるようになり、健康情報の中でも『アレルギーから解放されるには!?』と言うのが特に人気の高い項目として頻繁に取り上げられる事になります。ですが、これまた残念な事に『全ての人に有効な治療法』と言うモノがなかなか存在しません。そのために巷には様々な治療法や健康食品の情報が溢れ返り、患者さん達はその情報の波に翻弄されているのが現状です。

通常の医療現場に於て、本当の意味で有効な方法が開発されるにはまだまだ暫くかかります。それまでは今ある治療手段の中から有効な方法を探るしかありません。
ただ、多くの場合軽んじられている項目があります。『アレルギーは生活習慣病の側面を持つ』と言う考え方です。これは実は大変重要な事であって、あらゆる治療法はこの観点をおろそかにしていては充分な効果を発揮出来ません。逆にこの事をしっかり押さえておくだけで、これまであまり有効でなかった治療法が大変な効果を発揮するようになる事はとても多いのです。

当院では『生活習慣の基礎の上に行うアレルギー治療』によって、これまで多くの喘息・アトピーなどのアレルギー患者さんに顕著な状況改善の実績を上げています。

クリックでそれぞれの説明が閲覧できます。

  • 最近とみに増えているアレルギー疾患群の中でも、症状の切なさや治療の難しさなどから大変話題に上る事の多いのがアトピー性皮膚炎です。かつては多くの場合、子供の時に罹っても大人になったら治るものでしたし、成人のアトピーはかなり稀でしたが、近年ではもはや『大人になれば良くなるよ』などとは口が裂けても言えない病気になってしまいました。何故こうなってしまったのかその理由には諸説あり、実際のところ何が原因なのか確かなところは分かっていないのが現実です。しかし理由がわからないからと言って、それが分かるまでは症状が改善出来なくてもしょうがない、と言う事にはなりません。
    そして現実の病院で提供される一般的な医療に対する不満の結果として、様々な民間療法や代替療法、或いは西洋医学の中でも特色のあるアトピー療法が数多く登場して来る事になります。そのどれもがそれなりに裏付けも実績もあるものなのですが、残念な事にそのどれもが『全ての人に充分に有効』ではありません。

    何故実績も裏付けもある筈の多くの治療法がこれほど効果にムラがあるのでしょうか?

    当院では、アトピー治療の基本に代謝の問題を据えています。栄養を摂取・利用・排泄する、その流れがどこかしらで問題を含んでいる場合、まずいかなる治療法を試みようともアトピー性皮膚炎は本当の意味で改善を見せる事はありません。摂取している栄養のバランスの悪さ、使い切れないほどの栄養の摂取、利用した後或いは利用し切れなかった代謝老廃物の排泄、これらをちゃんとコントロールする事がアトピー治療の出発点です。アトピー性皮膚炎と言う病気は、アレルギー疾患の中でも特に『生活習慣病としての側面を強く持つ病気』なのです。

    当院院長である私自身も重症のアトピー患者です。アレルギーレベル指標の一つであるIgEの値は、ほぼ全く症状のない( 冬場の保湿剤以上のものを殆ど必要としない )現在に於いてもなお3000前後を行き来しています(医療機関によって差はありますが、これは正常値の10〜20倍に相当します)。悪化すれば頭髪・眉毛は抜け、顔は勿論全身が赤く火膨れしたようになり、リンパ液がおでこを伝い流れる事もありました。こう言った悪化を私はこれまでの40年間に3度経験しています。(最も最近では2004年夏から約8ヶ月間)その全ては『一定レベルを超えた食生活の乱れを主体とした生活習慣の崩れが、一定期間以上続いた結果』として起きています。当然それらを『きっちりと』改善する事によって状態は大きく改善し、生活習慣にある程度以上気を配っていれば再発は殆どありません。とは言え、アレルギーと言う病気は『いかなる体質改善を行おうと、アレルギー体質そのものが消えてなくなる事はきわめてまれ』な病気ですから、再び生活習慣が大きく崩れ続けた時にはまた再発するのでしょう。そうならない為には、生活習慣を適切に維持し続ける事が不可欠と言う事です。この『生活習慣の改善』を基本に据えた考え方がアトピーで悩む多く患者さんにとって極めて有効である事は、私自身や私の娘のみならず当院に於いてこれまで診させて頂いた患者さん達の治療実績から見ても間違いのない事だと確信しています。

    勿論こう言った生活習慣の改善を基本とした治療には時間がかかります。その間の皮膚状態のケアの為に、当院ではアトピー用外用薬として充分な実績と効果を持つ『丹羽軟膏』を併用しています。そして他の生活習慣病同様、血液画像観察を積極的に用いた生活習慣の改善を大前提とし、さらにはストレスなどの問題を客観的な評価を基に改善させて行く治療を行っております。それにより多くの患者さんが概ね半年から1年程度の治療期間の後には、最終的に保湿剤程度以上の外用薬などを殆ど使わず、肌の状態に我慢を強いられる事のない日常を手に入れる事に成功しています。
    アトピー用として出回っている様々なサプリメントや外用剤の使用を否定するものではありませんが、まず保険診療の中で出来る事がまだまだあります。そうする事でサプリメントや外用剤もより効果的に働くようになるのです。決して楽な道のりではありませんが、少なくとも今よりは状況は改善が可能です。確かにアトピーが命を奪う事は稀ですが、この病気は心をくじきます。肌の状態の改善は心も元気にしてくれます。アトピー性皮膚炎でお悩みの方はお気軽にご相談下さい。

  • 最近、アレルギーと腸内細菌の関係と言った事を耳にする事があります。それに関連して、抗生物質の使用とアレルギーの関係も患者さんから聞かれる事があります。

    腸内細菌とアレルギー、抗生物質とアレルギー、どんな関係があるのでしょうか?
    腸内細菌と言うのは人体にとってとても大事な存在です。消化管である腸の中の環境を維持し、改善するのに不可欠と言えます。いわゆる善玉菌を順調に増やし、悪玉菌が過剰になるのをコントロールする事が、腸内環境の維持・改善に繋がります。そして腸内細菌のバランスが崩れた時、その人は食物抗原に対してアレルギー反応を起こしやすくなると言う話がある訳です。
    体内に取り込まれた食物は消化され、小さな分子に分解されます。それらは直ちに腸の粘膜から体内に取り込まれるのではなく、腸内細菌によって更なる分解を受けるとされます。この分解が不十分な時、体内には『抗原として機能しうるサイズのままの分子』が取り込まれる可能性が高くなります。

    少し難しい話になりますが、実は人間がアレルギー反応を起こすのに良く言われる『抗原』と言うものには、サイズの限界があります。ある一定以上小さな分子は『抗原』になる事は無く、また、一定以上大きな分子は『抗原』として認識されやす、と言う傾向があります。つまり腸内細菌によって分解を受けない食物の分子は『抗原になりやすいサイズ』の分子として体内に取り込まれ、それらが食物アレルギーを引き起こすと言う学説があるのです。既にある程度のデータは集まっており、私自身はこれはかなりの部分正しいのではないかと考えています。

    そしてこのように考えた時、抗生物質とアレルギーに関係が出て来ます。ご存知のように、抗生物質とは『細菌をやっつける薬』です。この『細菌』には当然腸内細菌も含まれ、抗生物質の作用は相手が善玉菌であろうと悪玉菌であろうと関係なく『有効』に作用します。つまり抗生物質の乱用は腸内細菌のバランスを崩し、腸内環境を一時的にせよ悪化させてしまい、それによって結果としてアレルギーを悪化させてしまう危険をはらんでいるのです。勿論、だからといって抗生物質の利用それ自体が悪い訳ではありません。医療行為と言うのは全てメリットとデメリットのバランスの中で成立しているものであって、例え一時的に腸内細菌が激減しようとも、今ある感染症の治療の方がその人の体にとって火急の用件である時は、迷わず抗生物質を使用する必要がある事も間違いの無い事実です。

     とは言え、実際に幼児期までに抗生物質の使用経験頻度の高い人はアレルギーになりやすいと言う疫学データも出ています。抗生物質は人類を感染症の恐怖から解放したと言う点で疑い無く現代医学の勝利の産物ですが、耐性菌の問題やアレルギーとの関係など、最近では当初分からなかった様々な問題を含むものである事が分かってきているのもまた事実です。『必要な時に、必要な種類を、必要な量に限って使用する』という事がこれからますます重要な課題になって行くでしょう。抗生物資とは、決してアレルギーと無関係な薬ではないのです。

  • 皆さんは『アレルギー』と言うとどんな病気を思い浮かべるでしょうか?食物アレルギーや花粉症、喘息やアトピー、そう言ったものが多いのではないでしょうか。
    これらの病気は全て『アレルギー疾患』と言われるグループに入ります。当院ではアレルギー科を標榜していますから、これら全ての患者さんが診療の対象となります。そして、そう言った患者さん達の診療の際にはある特徴に沿って治療法を考える事が多いのです。それはアトピー・喘息・花粉症は同じアレルギーとは言っても、その有効な治療法には一つの傾向があると言う事です。

    勿論アレルギー疾患の全ての患者さんに適応出来る話などある筈もありませんが、やはり大きな傾向は存在すると言う実感があります。

    『抗アレルギー薬やステロイド』のような薬物治療が功を奏す(或いは長期のコントロールに充分有効な)病気は花粉症 > 喘息 ≫ アトピーの順です。花粉症は本当に抗アレルギー薬が良く効きますし、それでダメでもステロイドの点眼薬や点鼻薬で殆どの方が症状のコントロールが可能です。喘息の場合は抗アレルギー薬の効果が期待しにくいところはありますが、ステロイド吸入薬によってこれまた殆どの場合かなりのところまでコントロール出来ます。ステロイドとしての使用量も極めて少ないので、その副作用に対しても効果と比較して極めて軽度と言って良いと思います。ところがアトピーは抗アレルギー薬のみでコントロール出来る場合はとても少ないです。ステロイドにしても長期連用をした場合はその副作用は無視出来ないほどに重大になってしまう事が少なくない上に、ステロイドの効果そのものもなかなか持続しません。

    しかし、今度はその治療の柱を『生活習慣改善』に向けてみるとその有効性は先ほどと全く逆になります。アトピー ≫ 喘息 > 花粉症、の順です。抗アレルギー薬などの効果が大変低かったアトピーの患者さんが、生活習慣の改善を行って行く事によって驚くほどの症状改善を見せる、と言うのは少なくとも当院においては決して珍しい話ではありません。花粉症の方が生活習慣の改善で薬物治療を超えるほどに良くなった、と言う話は当院を含めてもそう聞く話ではありません。

    実はアレルゲンといわれる物質を排除した時の効果についても『薬物治療』と同じような傾向が見られます。花粉症の場合、その花粉が飛ばない時は症状などまず出ません。喘息にしても原因物質の排除は病状のコントロールにとても有効です。ハウスダストとダニに対してアレルギー反応が振り切れる筈の私を例にあげると、お世辞にもきれいとはいえない古い病院の当直室に行っても、特に体調が悪くない限り何も症状は出ません。しかし体調が悪ければ、そんなものがないところだろうと何だろうとお構いなしに症状が暴走を始めます。

    こう言った事柄はアレルギー疾患と言う病気の治療を考える時大変重要な事だと、最近ますます強く感じるようになっています。
    これまで言われてきたような、病気やその進行度ごとに使用する薬物などについて充分な知識を持って注意する事は勿論ですが、治療法の重点を『薬物治療』に置くのか、それとも『生活習慣改善』に置くのか、一口にアレルギー疾患と言われる疾患群に対してもそう言ったところにも充分な注意を払った治療が今後はますます重要になってくるのではないかとそんな気が大変強くしています。

  • アレルギーはやはり遺伝します。
    おおざっぱ統計ですが、両親のウチ片方が何らかのアレルギー疾患を持っている場合、その家の子供は約55%くらいの確率でやはり何らかのアレルギー疾患を持って生まれてきます。そして両親が共に何らかのアレルギー疾患を持っている場合だと、その確率は80%を超えます。
    かく言う私の場合も同じです。私自身の重度のアトピー、私の妻の中等度の花粉症という組み合わせから生まれた私の娘は、見事にアトピーになりました。

    まさしくこれを懸念する心があればこそ、私たちは結婚してからなかなか子供を授かるという踏ん切りが付かずにいたのです。生まれてきた我が子がかつての私のように苦しむ姿なぞ、そんな人生を歩ませるための命など本当に私たちは授かることは許されるのか。その覚悟が付いたのは、ようやく結婚して5年が経過した頃でした。「アトピーが出たところで俺の子だ。俺が必ず何とかする。そのための方法は、十中八九、今俺が持っている手段で大丈夫だ。」そう確信が持てた頃、ようやく決心が付いたと言えます。
    遺伝する以上、親に有効だった方法は子供にも有効です。

    今、多くの患者さんを見させていただく中で、特に若い患者さんに良くお伝えしていることがあります。「あなたのアトピーをコントロールする手段を見つけることは、あなたにとってだけでなく、あなたに続く次の世代にとってもかけがえ無く重要な行動です。自分のアトピーがどうなると悪くなり、どうするとうまくコントロールできるのか、これから全力で見つけましょう。私も全力でお手伝いします。」

    アレルギーは遺伝する以上、その流れから逃れることは困難です。それでも、やはりご本人のアレルギー(特にアトピー)にとって重要だった考え方は、次の世代にも必ず生かせますアレルギーを持って過ごす事はとても哀しい現実でもありますが、同時にその事実がもたらしてくれる希望も含んでいます。
    まずご本人がご本人のアレルギーと正面から向き合うこと、これがやはり何よりも大事です。

  • 小学校低学年から始まって今日に至るまで、何回かアトピーが酷い時期を繰り返しました。基本的に小学校卒業までに制御の仕方は手に入れていたのですが(正確には母が手に入れていた、と言うべきですね)その後の一人暮らしや社会人としての生活などの中で、この20年で2回の再発を起こしています。

    このうち、デジタルデータが残っているモノについて以下にお見せしようと思います。決して見栄えの良いものではなく正直お見苦しいモノだとは思いますが、患者さんからのご要望もあり「アトピーは良くなる」という一つの証左としてお出しする事にしました。勿論2001年と2009年の写真の時点でステロイド外用薬やアレルギー用の内服薬は原則として使用していません(日焼けが酷くなったりした時には使う事もあります)。

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